No.14 大規模修繕工事施工ミスの隠蔽工作

🟡 3行でわかる要旨

  1. 大京アステージは、第2回大規模修繕工事後に発生したタイル破損について「補償対象外である」と虚偽説明し、住民への説明責任を回避した。
  2. しかし、施工前に開催された説明会資料に破損箇所の写真が「タイル爆裂の例」として掲載されていたため、同工事による施工ミスを隠蔽していた疑いが浮上。
  3. 管理組合は通知書・再通知書を送り、詳細な是正対応報告を求め、法的責任の検討や住民説明会開催などを含む対応策を進めている。

🔶 問題の構図

  • 管理会社(大京アステージ)
    • 管理会社として大規模修繕工事の施工ミスを隠蔽し、本来是正すべきタイル破損を「対象外」と虚偽説明。
    • その結果、修繕積立金の不適切使用や住民の判断誤認を招き、企業倫理・法的責任の双方を問われる事態となる。
  • 施工会社(大京穴吹建設)
    • 施工前に開催された説明会の資料に「タイル爆裂の例」として問題箇所の写真を示し、住民に修繕必要性を説明。
    • しかし、同じ場所の破損が実際には施工範囲外として扱われ、補償が拒否されたため、両社の認識齟齬と隠蔽工作の構図が浮き彫りに。
  • 管理組合(ライオンズマンション稲沢)
    • 施工ミスを疑い、証拠提示をもとに何度も説明を求めるが、最初は虚偽回答でかわされ、最終的に施工ミスを認めさせた。
    • 住民の信頼回復と公正な是正措置を追求する立場から、通知書・再通知書を通じた強い督促と今後の法的対応を準備している。
  • 住民(区分所有者)
    • 工事説明会資料を信頼して承認判断を行ったが、実際には補償対象外とされ、修繕積立金の使途に疑念を抱いた。
    • 真相解明と補償を求める運動に参加し、管理組合と連携して問題解決を図る。

1️⃣ 問題の発端

  • 2025年3月24日:第2回大規模修繕工事アフター2年点検報告書
    • タイル剥がれの損傷については一切記載がなく、同日には問題箇所の存在を確認できなかったかのように見えていた。
  • 2025年4月17日:理事会から大京アステージへの連絡
    • タイル破損を指摘し、是正対応を求めたが、大京アステージは「施工対象外であり補償対象外」と説明。
  • 2025年4月以降:住民からの声
    • 施工前に開催された説明会の資料(大京穴吹建設作成)にタイル破損箇所の写真が「タイル爆裂の例」として掲載されていたことで、住民が「本来なら補償されるはず」と疑問を抱く。
  • 以上を契機に、管理組合は大京アステージへ虚偽説明の調査と是正を強く求める動きを開始した。

2️⃣ 具体的事実

  • 施工前に開催された説明会の資料の存在
    • 工事前に大京穴吹建設が配布した資料に、問題のタイル破損箇所が赤枠で示されており、「タイル爆裂の例」として掲載されていた。
    • 住民はその説明をもとに、第2回大規模修繕工事を承認。
  • 点検報告書の不備
    • 2025年3月24日付の「第2回大規模修繕工事アフター2年点検報告書」では、該当タイル破損について「目視確認のみ」で記載せず。
    • そのため、3月24日と4月17日の間に新たに破損したとは考えにくく、破損は工事当時から存在していた可能性が高い。
  • 大京アステージの虚偽説明
    • 2025年5月15日までのメール回答および回答書で、「2年前の大規模修繕工事では施工しておらず、補償対象外」と主張。
    • しかし、施工説明会資料に掲載された破損写真と点検報告書の齟齬から、隠蔽工作の疑いが濃厚となった。
  • 管理組合からの通知書・再通知書
  • 2025年5月18日:理事会での説明
    • 大京アステージおよび大京穴吹建設が、施工前に開催された説明会の資料に掲載された写真と同じ箇所を工事で施工した旨を説明し、破損が2年前の工事範囲内で起きたことを認めた。
  • 2025年5月23日:大京アステージ再回答<ご質問事項>14
    • 「第2回大規模修繕工事で実施した場所のタイル破損である」という認識を示し、初回の「補償対象外」主張を撤回。

3️⃣ 影響と被害

  • 住民への経済的影響
    • タイル破損の是正費用を「自己負担」または別途積立金から拠出する可能性が高まり、住民に追加負担が生じる恐れ。
  • 住民判断の誤認による権利侵害
    • 施工前に開催された説明会の資料を信頼して修繕工事を承認した住民が、本来であれば補償される範囲を誤って認識し、意思決定を誤らせられた。
    • この結果、修繕積立金の不適切使用や、住民が受けるはずの補償権利が奪われた可能性がある。
  • 信頼失墜と精神的被害
    • 管理会社や施工会社に対する不信感が組合内で急速に高まり、管理組合自体の運営に支障をきたすリスクがある。
    • 住民は「正しい情報が提供されていなかった」「管理会社が隠蔽した」と感じ、安心して暮らせる環境が損なわれた。
  • 法的・行政的リスクの顕在化
    • 大京アステージは虚偽説明による説明責任違反や不法行為責任(民法第709条)を問われる可能性。
    • 修繕工事瑕疵担保責任(民法第412条)を追及されるリスクがあり、施工会社にも同様の責任が想定される。

4️⃣ 証拠資料一覧


5️⃣ 管理会社の対応・回答(大京アステージの回答の変遷)

大京アステージの回答の変遷一覧表より抜粋

No.不正行為項目(★印は当時の理事長と共謀)2025515初回回答(要旨)2025523再回答(要旨)
  • 初回回答(2025年4月24日~2025年5月15日)
    • 主張:「2年前の大規模修繕工事では該当箇所を施工しておらず、補償対象外」と虚偽回答。
    • 住民の指摘や施工説明会資料の存在を無視し、是正や責任の所在の説明を回避。
  • 2025年5月15日 回答書<ご質問事項>14(抜粋)
    • 虚偽説明の内容を公式に文書化。具体的な事実関係の開示はなく、「対象外」という結論のみ。
  • 通知再通知への対応
    • 通知書を受領後も初動調査を行わず、回答期限である2025年5月23日まで具体的な是正措置案を示さなかった。
  • 再回答<ご質問事項>14(2025年5月23日)
    • 主張:「第2回大規模修繕工事で該当箇所を施工したことを認識しており、破損は施工ミスによるもの」と変更。
    • しかし、原因究明や補償責任の明示、再発防止策については具体的な提案をせず、「原因特定を回避し、保証責任を曖昧化したまま」という姿勢を崩さず。
  • 姿勢に対する組合側の見解
    1. 責任所在の不明確さ:施工ミスを認めたが、「誰がいつどういう手順で破損を招いたのか」という核心を明らかにしていない。
    2. 瑕疵担保責任の回避:管理会社・施工会社ともに、「修繕工事の瑕疵担保責任を負う」との説明を避けており、今後の補償協議が難航するおそれ。
    3. 説明責任違反:虚偽説明によって住民の判断を誤らせた点について、謝罪や詳細説明をせず、企業倫理として問題が大きい。

6️⃣ 管理組合の対応と提言

  • 通知書・再通知書による厳正な要求
    1. 調査報告の詳細化
      • 「2025年5月23日回答書」に記載された破損認識に関し、以下の点を文章で再回答するよう強く要請:
        • どの職員が、いつ、どの工程で施工ミスを発生させたかの詳細。
        • 施工説明会資料に示された破損写真と実際の施工範囲をどのように整合させたか。
        • 補償対象から除外する根拠と責任主体の明確化。
        • 社内調査の有無および再発防止策の具体内容(チェック体制、品質管理プロセスの見直しなど)。
    2. 是正措置の実行期限
      • 「2025年6月末までに、是正対応(破損部の修繕と補償)および詳細調査報告書を提出してください」と期限を設定。
  • 住民説明会の開催
    • 2025年5月18日 理事会説明後:住民向け説明会を速やかに開催し、以下を説明:
      1. 施工ミスの経緯と責任所在。
      2. 是正措置(修繕工事の実施方法、費用負担の有無)。
      3. 再発防止策として導入する品質管理プロセスの詳細。
    • 住民からの質疑応答を受けつつ、管理会社と施工会社の対応状況を逐次報告する。
  • 法的対応の検討
    1. 民事責任追及
      • 善管注意義務違反(民法第644条)・債務不履行責任(民法第415条)・不法行為責任(民法第709条)に基づき、補償請求・損害賠償請求を検討。
    2. 行政通報
      • 国土交通省・都道府県の監督機関へ「修繕工事瑕疵による隠蔽疑惑」として通報し、行政指導や処分を要請。
    3. 刑事責任の可能性
      • 施工ミスによって住民に被害が生じた場合、関係者(管理会社・施工会社・現場責任者)への業務上過失致傷などの刑事責任を検討。
  • 契約条項・ガバナンス強化策
    1. 管理委託契約の見直し
      • 今回のような瑕疵隠蔽を防止するため、契約書に「虚偽説明時の違約金」「瑕疵担保責任の明示」などの罰則条項を追加。
      • 提出期限や定期点検の進捗報告義務を明文化し、未遵守時のペナルティを規定。
    2. 品質管理プロセスの外部監査導入
      • 半年ごとに外部専門家(建築士・施工監理技術者)による現地検査を実施し、修繕工事の品質管理を第三者視点でチェック。
    3. 内部通報制度の整備
      • 匿名で問題提起できる窓口を設置し、管理会社・施工会社の内部で発覚した不正行為を迅速に組合に報告できるようにする。
  • 全国のマンション管理組合への注意喚起
    1. プレスリリース・報道提供資料の準備
      • 修繕工事瑕疵隠蔽のリスクを周知するプレスリリースを作成し、報道機関へ提供。
      • 「全国のマンション管理組合の皆様へ:大規模修繕工事における施工ミス隠蔽の危険性」として注意喚起を実施。
    2. リーク文の検討
      • 必要に応じて、NHKクローズアップ現代や報道ステーション等に情報提供し、社会的な監視を強化。

以上のように、大京アステージによるタイル破損隠蔽工作は、管理会社としての説明責任・瑕疵担保責任を故意に回避した重大事案です。管理組合は通知・再通知を通じて事実関係を徹底的に洗い出し、法的責任追及や補償協議、未来のガバナンス強化を進める必要があります。