
🟡 3行でわかる要旨
- 管理会社(大京アステージ)が管理組合の意思決定プロセスを形式的に利用し、第三者による相見積もりを排除したまま総会承認を取得して大規模修繕工事契約を締結した疑義がある。不当利益は大規模修繕工事費用の30%。
- 理事会議事録が持ち出されたり、作成されず保管もされていない事例が多発し、本来住民説明会やアンケート結果として開示されるべき住民の意見が隠されていた。
- これにより透明性・公平性が損なわれ、管理組合の意思形成がゆがめられた可能性があり、法的責任や行政上の問題も想定される。
🔶 問題の構図
- 管理会社(大京アステージ)
- 管理委託契約書P15条1(3)によって競争排除的な構造を構築し、自社と提携する業者(大京穴吹建設など)を優先して修繕工事を総会へ上程させた。
- 大規模修繕工事に関しての理事会審議は2022年4月決算月理事会のみで実質1回。理事及び住民の意見表明機会を意図的に拘束。
- 2022年4月決算月理事会に先駆けて開催した住民説明会である検討経緯報告会で発せられた「相見積もり取得要請」などの住民意見を隠蔽し、「特に意見なし」とし、総会へ上程。
- 当初「大規模修繕工事のご要望アンケートデータ不存在」と回答し、後の理事会記録から矛盾が発覚。(アンケート結果として相見積もり要請が多数あり、これを隠蔽していた)
- 管理組合(ライオンズマンション稲沢管理組合)
- 第27期(2018年)以降、理事会議事録原本やデータが不在となり、情報格差が生じた
- 住民側から相見積もり取得を要求したにもかかわらず、管理会社は相見積もり取得の主体はあくまで組合側だと主張
- 理事会や総会で適切な検討・議論が行われないまま総会へ上程・承認された可能性
- 実際の施工業者(工事契約先は大京穴吹建設、実際の施工会社は長谷工リフォーム。この2社には2025年3月、4月に公正取引委員会による「独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑い」立入検査が行われた。)
- 管理会社が指定した提携先として契約締結
- 相見積もりが十分に行われず、複数社比較の機会が奪われた疑い
- 住民(区分所有者)
- 理事会や住民説明会である検討経緯報告会及び大規模修繕工事のご要望アンケートで「相見積もり取得要請」が多発していたにもかかわらず、その結果が理事会議事録に反映されず、総会議案が強行上程されたことに不信感
- 住民説明会である検討経緯報告会においても住民意見が記録から省略され、情報公開が不十分
1️⃣ 問題の発端
- 第27期(2018年)以降:
- 理事会議事録原本や関連データが持ち出されたり未作成・未保管となる事例が多発。
- 特に「第2回大規模修繕工事に関するアンケート結果一覧データ」について管理会社が当初「存在しない」と回答。
- 2021年12月12日(第30期12月定例理事会):
- 理事会議事録に「アンケート結果確認」という記載があり、本来アンケート実施・集計が行われていたはずである点を住民側が指摘。
- その後、2025年1月26日定例理事会でようやくアンケート結果一覧表が提出されたが、事実上2年以上の遅延が生じていた。
- 2022年4月17日(第30期決算月理事会 大規模修繕検討経緯報告会):
- 住民意見が質疑応答の場で多数出されていたにもかかわらず、その後開催された理事会の議事録にはまったく記載されないまま終了。(「特に意見はなし」と記載)
- 2022年6月12日(第30期6月総会前理事会):
- 大京穴吹建設との大規模修繕工事契約を総会へ上程。相見積もり取得要請があったにもかかわらず、管理会社側は「組合が行うべき」と主張し、実質的に提案主導型で総会承認を得る形となった。
2️⃣ 不正の疑義
- 情報隠蔽・議事録操作
- 理事会議事録の持ち出し・未作成・未保管が頻発し、当該期間(第27期以降)の原本や電子データが断片的。
- 住民アンケート結果や質問・意見内容を本来残すべき議事録から抜粋・改変し、情報公開が不十分。
- 相見積もり取得の阻害
- 住民説明会、アンケートや理事会で相見積もり取得を多数要請していたにもかかわらず、管理会社は「組合が主体的にやるべき」と繰り返し主張。
- 結果として、管理会社が提案する大京穴吹建設だけが実質的に選定され、競合他社との比較機会が奪われた。
- 総会議案の強行上程
- 総会議案が短期間で強行的に上程され、本来の検討期間や住民への情報共有が著しく不足していた。
- 総会前の理事会で議案を押し込み、総会承認決議を盾に反論を封じる管理会社の企業体質が垣間見えた。
- 管理委託契約書の競争排除的条項
- 管理委託契約書P15条1(3)の文言が、競争を実質的に排除する構造となっており、独占禁止法上の「不当な取引制限」に該当する可能性がある。
- 管理会社が情報を握り、専門的判断が困難な理事会へ十分な説明を怠ったため、理事会の意思決定が歪められた。
3️⃣ 管理会社の対応
- 第1回面談(2025年3月7日)
- 場所:喫茶屋らんぷ下津店、時間:14:00〜16:00
- 出席者:大京アステージ 辰己支店長、肥川副支店長、藤高リーダー
- 管理会社主張:「当社としては誤った業務をしておりません。相見積もり取得は管理組合の責任であり、当社には問題がない。」
- 最終回答(2025年5月15日)
- 「最終的に総会上程に至った経緯も、弊社の説明をもとに理事会にて審議いただいた結果である。」との主張を文書で提出。
- 再通知書送付(2025年5月17日 21:36)
- 管理委託契約書P15条1(3)が独占禁止法上問題となる可能性を指摘したうえで、理事会や総会直前に議案を集中させてきた運営体質を批判。
- 「決算月理事会や総会直前の理事会で自社提案工事を集中させる手法は、実質的に区分所有者の意思反映を阻害しており、御社の業務運営体質に深刻な問題がある」と再反論。
- 再回答(2025年5月23日)
- 「ご指摘の事実はない。取引制限するものではない。」と一貫して否認。
- 相見積もりはあくまで管理組合の主体的行為であり、管理会社には相見積もり取得を強制する義務はないと主張。
4️⃣ 住民側の対応
- アンケート結果提出要請と指摘
- 「第2回大規模修繕工事に関するアンケート結果一覧データ」の存在を要請し、当初「存在しない」との回答を受ける。
- しかし理事会議事録には「アンケート結果確認」と記載があり矛盾が発覚。最終的に2025年1月26日に一覧表が提出されるが、情報公開の遅延を指摘。
- 定例理事会および検討報告会での異議申立て
- 2022年4月17日理事会(大規模修繕検討経緯報告会)で複数の住民意見が示されたにもかかわらず、その後開催した理事会の議事録への反映がなかったことを指摘。
- 2022年6月12日理事会での総会上程時、相見積もり取得要請や住民要望を再度訴えかけるが、管理会社側は当初回答通り「組合が行うべき」と主張。
- 法的根拠を踏まえた交渉姿勢
- 管理委託契約書P15条1(3)が競争排除的である可能性を根拠に、独占禁止法上の問題を指摘。
- 民事・刑事・行政上の責任を想定し、最悪の場合の賠償請求や通報の可能性を示唆して対応。
✳️ 証拠資料一覧
「不当利益は大規模修繕工事費用の30%」となる証拠:2023年10月10日第32期10月定例理事会議事録より抜粋

大京アステージが大規模修繕工事費用の30%を不当利益として得ていた事実を裏付ける証拠である第32期10月定例理事会の議事録は、第32期理事長と共謀して隠蔽されました。その詳細は、以下の「No.11 大京アステージ事業管理部コンプライアンス課への依頼事項(理事会議事録の隠蔽工作の件)」をご覧ください。
管理委託契約書P15条1(3)によって競争排除的な構造を構築する根拠
管理委託契約書P15条項の抜粋

「大規模修繕工事を除く修繕または保守点検などを外注業者(大京アステージ以外)に依頼する場合は、見積書の受理、発注補助、実施の確認を大京アステージが行う。」
この条項には、以下のような構造的・運用的な前提が隠れています。
- 小規模修繕・保守に限り、外部業者を利用できる枠がある。
- すなわち、日常的な給排水や電気設備点検、設備機器の保守などは、管理組合が自由に外注先を選べるが、
- その際の見積受理、発注手配、工事完了確認といった“管理業務の窓口”をすべて大京アステージが担う。
- 「大規模修繕工事」は必ず大京アステージが行うものとみなされている。
- 条項の文言上は「大規模修繕工事を除く」とだけ書かれており、表面には「大規模修繕はどこが請けるかは書いていない」ように見えます。
- しかし「小規模修繕は外注可としつつ、それすらも大京アステージが窓口となる」仕組みにしておくことで、管理組合が大規模修繕だけ大京アステージ以外に委託しようとした場合でも、見積取得や業者選定の情報が大京アステージに筒抜けになる(あるいは、そもそも交渉機会が与えられない)構造になってしまうわけです。
結果的に、
- 小規模案件であっても「請負先選定 → 見積取得 → 発注 → 実施状況の把握」まですべて大京アステージを介させられるため、管理組合側が自主的に業者を比較検討しづらい。
- 「大規模修繕は大京アステージ一社に発注するのが当然だ」という前提が契約上あらかじめ組み込まれている(条項の立て付けから読み取れる)ため、他社に見積依頼・相見積をとるまでもなく、大京アステージに丸投げされる構造になります。
この前提がもたらす問題点
- 市場競争の排除
本来、機器更新や共用部大規模修繕を行う際は、「複数社から相見積を取り、最も合理的な価格・仕様の業者を選ぶ」ことが望ましいはずです。しかし条項上、管理組合が直接他社を比較検討することをほぼ不可能にしているため、価格競争・品質競争が働かず、結果として管理費・修繕積立金の無駄遣いにつながる可能性があります。 - 情報の非対称性・透明性欠如
大規模修繕は膨大な金額が動くため、その見積内容や仕様書、仕様変更理由などを第三者視点でチェックすることが重要です。しかし「小規模案件であっても大京アステージを窓口にしなければ手配できない」という運用ルールは、- 管理組合と外部業者の本来あるべき直接的なコミュニケーションを遮断し、
- 大京アステージ以外の業者と打ち合わせする際の情報開示範囲を制限します。
これにより、いざ大規模修繕を含む本格的な見積比較を行う段階でも「そもそも他社に見積書を依頼できる体制・資料が手元にない」という状態に追い込まれやすくなります。
- 管理組合の意思決定権の制約
本来、管理組合理事会や総会での議決を通じて“工事を委託する業者を選ぶ”かどうかを最終判断すべきところ、- 小規模・定期保守案件ですら大京アステージが間に入ってお膳立てし、
- 大規模工事は大京アステージ一社で見積を作成したうえで、管理組合には承認を仰ぐだけの形式になってしまいます。
この結果、理事会や総会で他社比較の提示がなされる機会が失われ、管理組合側の「多角的に検討し判断する権利」が事実上制限されるのです。
まとめ
- 条項の裏側にある前提
この契約条項は「大規模修繕だけは大京アステージが一任される」という慣行を法的文書上に隠蔽しつつ、小規模修繕でも窓口を独占することで事実上の一社独占状態を作り出しています。 - 管理組合の立場から言うべきポイント
- 管理組合が他社を選ぶ機会を奪われている点
- 市場原理にもとづく適切な価格競争・品質担保が働きづらい点
- 情報の非対称性が深刻化し、住民の信頼を損ねかねない点
- 打つべきアクション
- 実際の運用実態を証拠化し、総会や理事会で問題提起する。
- 条項修正案(相見積義務化や外部チェック枠の新設など)を作成し、議案として取りまとめる。
- 必要であれば行政・業界団体へ相談し、第三者視点での是正を働きかける。
その他の証拠
- 理事会議事録原本(第27期以降)
- 理事会議事録多数の持ち出し・未作成・未保管が確認された資料一覧(大京アステージによる事態報告書)。
- 第1回面談記録(2025年3月7日) No.3 第2回大規模修繕工事 肥川副支店長
- 辰己支店長・肥川副支店長・藤高リーダーによる大京アステージの回答要旨を記録。
- 第30期12月定例理事会議事録(2021年12月12日)より抜粋
- 「アンケート結果確認」の記載があり、当初「データ不存在」との回答と矛盾。
- アンケート結果一覧表(2025年1月26日提出)
- 第2回大規模修繕工事に関するアンケート結果を集約したデータ。
- 第30期決算月理事会 大規模修繕検討経緯報告会議事録(2022年4月17日)
- 住民意見の存在にもかかわらず、議事録への記載がなかった証拠。
- 第30期6月総会前理事会議事録(2022年6月12日)
- 相見積もり取得要請や住民要望を含むが、管理会社提案工事を強行上程した記録。
- 大京アステージ回答書(最終回答:2025年5月15日) <ご質問事項 3>
- 「弊社の説明に基づき理事会で審議された結果」とする回答文書。
- 再通知書(2025年5月17日 21:36送付) 【再確認・再回答を求める主要論点】4
- 公正取引委員会 独占禁止法上の指摘およびプロセス上の問題点を詳細に説明した文書。
- 再回答書(2025年5月23日) <ご質問事項 3>
- 否認を続ける管理会社側の立場をまとめた文書。
- 大京アステージ真島社長へ提出した説明書(本件の経緯と問題点を詳細にまとめ、経営陣の責任を追及するために提出した書面)
管理会社の回答要旨(要点のみ)
- 相見積もり取得について
- 「相見積もりは管理組合の主体的な行為であり、当社が取得義務を負うものではない。」
- 議事録やアンケートデータについて
- 「当初はデータが存在しないと回答したが、理事会の審議結果にもとづき必要な情報は適宜提供した。」
- 総会承認のプロセスについて
- 「総会上程・承認は理事会での審議を経たものであり、管理組合の意思で決定されたもの。」
- 管理委託契約書P15条1(3)の合法性について
- 「当該条項は競争を排除する意図はなく、独占禁止法上の問題はないと認識している。」
補足コメント
- 問題の主旨
- 透明性・公平性を著しく欠いた過程で管理組合に大規模修繕工事契約を締結させた疑義が核心。
- 特に、理事会議事録の不備や情報隠蔽、相見積もり取得阻害によって、区分所有者の適切な意思形成が阻まれた点が重大。
- 主な指摘内容
- 情報隠蔽・議事録操作
- 理事会議事録の持ち出し・未作成・未保管により、重要な記録が欠落。
- 相見積もり取得阻害
- 住民アンケートや理事会での要請にもかかわらず、実質的に一社選定を誘導。
- 総会議案の強行上程
- 総会承認直前に理事会で決定を誘導し、住民の検討機会を削減。
- 情報隠蔽・議事録操作
- 法的・制度的論点
- 独占禁止法上の不当な取引制限(管理委託契約書P15条1(3))
- 契約書条項が競争排除的である可能性が高い。
- 民法上の責任
- 善管注意義務違反(民法第644条)、信義則違反(民法第1条第2項)、不当利得・損害賠償請求(民法第703条等)
- 刑事責任の可能性
- 背任罪(刑法第247条)、私文書偽造罪・同行使罪(刑法第159条、161条)
- 行政責任
- マンション管理適正化法違反(国土交通省管轄)、消費者契約法・建設業法等
- 独占禁止法上の不当な取引制限(管理委託契約書P15条1(3))
- 管理組合の対応・意図
- 透明性を確保し、住民の意思を反映させるべく、理事会議事録やアンケート結果の開示を執拗に要請。
- 相見積もり取得を含む適正手続きを求め、法的根拠(独占禁止法、民法等)を背景に管理会社へ厳正な対応を求める。
- 全国のマンション管理組合への注意喚起やプレスリリース作成を視野に、監督官庁や業界団体、マスコミへの情報提供を検討。
まとめ:責任の方向性
- 管理会社側の主張:
- すべての手続きは理事会・総会承認を経ており、管理会社として「誤った業務」はないと強弁。
- 住民・管理組合側の主張:
- 実質的に競争排除的な仕組みを構築し、情報公開が不十分なまま重要議案を強行した点で、善管注意義務違反や信義則違反に至る可能性が高いと反論。
- 今後の展望:
- 民事・刑事・行政の各方面で責任追及の余地があり、特に独占禁止法上の問題は監督官庁への通報を含む対応が必要。
- 全国の分譲マンション管理組合に向けて“不透明な管理会社運営”の警鐘を鳴らし、制度的改善や監視強化を求める動きが予想される。
