★No.5 通常総会議決権行使書への不正行為

🟡 3行でわかる要旨(概要)

  1. 大京アステージは、議決権行使書提出期限後に改ざんされた可能性が高い議決権行使書を確認せずに「理事長が確認した」と主張し、不正集計を放置した。
  2. 2024年7月18日付けで理事長宛に譲り渡した議決権行使書と、2024年7月27日総会当日の朝に実際に集計された議決権行使書の数に齟齬が生じていたにもかかわらず説明を行わず、総会成立の前提を歪める重大なミスを認めた。
  3. 管理組合は再通知で真相究明と責任所在の明示を迫り、法的責任を視野に入れた対応を進めている。

🔶 問題の構図(住民の意思決定が歪められるまで)

  • 議決権行使書の提出・返却状況
    1. 区分所有者から提出された議決権行使書が、提出期限後から総会当日に至るまで理事長または管理会社に預けられた。
    2. 2024年7月18日の理事長への返却以前に一度集計された議決権行使書の数と、2024年7月27日総会当日の朝の返却後に実際に用いられた数に差異があった。
  • 管理会社と理事長による看過・黙認
    1. 本来、返却前後の数を厳密に突き合わせ、齟齬があれば再集計・住民への説明を行うべきところ、管理会社は「理事長が最終確認した」とのみ結論付けた。
    2. 理事長は「総会への提出書類に不正がない」と主張し続け、議決権行使書の改ざんの可能性を否定。
  • 総会成立・議案採決の歪み
    1. 齟齬が放置されたまま「総会成立」とされたため、正規の成立要件(出席理事数・委任状数)が揃っているか不明瞭な状態で決議が行われた。
    2. 住民は、本来行使すべき投票権・委任権を正確に反映させられず、意思決定プロセス全体が組織的に歪められた。

1️⃣ 問題の発端

  • 第33期10月定例理事会での証言
    • 2024年10月の理事会において、住民から「提出した議決権行使書が改ざんされた疑いがある」との証言があり、改めて管理会社に調査を依頼。
  • 第33期2月度理事会打合せ議事録
    • 2025年2月の理事会では、「返却前の集計数と返却後の集計数に齟齬がある」との指摘が正式に記録され、管理会社へ詳細報告を求める旨を決定。
  • 管理組合からの質問事項(2025年4月18日 第3回面談)
    • 大京アステージ担当者谷口氏・鈴木氏など担当社員への調査内容とその結果、理事長・副理事長への調査状況、委任状変更者7名への訪問記録、個別社員の弁明などを具体的に報告するよう求めた。

2️⃣ 具体的事実

  • 返却前後の議決権行使書数の齟齬
    • 2024年7月18日、理事長宛に返却された委任状・議決権行使書の数を管理会社は把握していた。総会当日に集計した数との差異を説明せずに総会を進行させた。
  • 最終集計での誤り
    • 2025年5月15日付の大京アステージ回答書で、「出席票・委任状・議決権行使書を誤って集計した」と初めて認めた。
    • ただし、「提出期限後の書き換えがあったかどうかは不明」として、改ざん調査を行わず見過ごした。
  • 理事長・副理事長の関与の可能性
    • 委任状提出締切後に住民宅を訪問し、「通常は白紙委任で議長への委任になるため、受任者長谷川進を斜線で消してほしい」と説得して議長(=理事長)への委任を強制した疑い。
    • 管理会社側は「理事長が最終確認した」という一点張りで、理事長側への調査を拒否。

3️⃣ 影響と被害

  • 総会成立要件の不明瞭化
    • 齟齬が放置されたまま「総会成立」と見なされたため、成立要件(出席・委任数)が満たされていなかった可能性が高い。
  • 住民の議決権行使機会の剥奪
    • 委任状を不正に改ざんされたまま使用され、住民が真意を反映できない状態で議案採決が行われた。
  • 組合運営への深刻な信頼喪失
    • 管理会社と理事長が共謀して議決権を操作したという疑念が住民間に広がり、今後の総会運営や理事会選任にも深刻な影響を及ぼす。
  • 法的リスクおよび訴訟リスクの顕在化
    • 「無効な総会決議」に基づく契約変更や予算執行は取り消し対象となる可能性があり、住民側から議決取消訴訟や損害賠償請求を受けるリスクが高まる。

4️⃣ 証拠資料一覧

  1. 第33期10月定例理事会議事録(証言記録)
    • 提出書類の改ざん疑惑が初めて提起された証拠。
  2. 第33期2月度理事会打合せ議事録
    • 「返却前後の集計数に齟齬がある」と正式に記録され、管理会社へ調査を要請した旨の記載。
  3. 2024年7月18日 返却記録
    • 理事長宛にポスト投函された委任状・議決権行使書の返却一覧(返却前の集計数との比較に利用)。
  4. 2025年4月18日 第3回面談記録 No.5 議決権行使書を使った不正集計
    • 大京アステージが面談時に示した回答内容と、組合側から要請した調査項目が記録されている。
  5. 大京アステージ回答書<ご質問事項 5>(2025年5月15日 )
    • 「出席票・委任状・議決権行使書を誤って集計した」と認めた文言。
  6. 再通知書 【再確認・再回答を求める主要論点】 6(2025年5月17日 21:36)
    • 「返却前後の齟齬を把握していながら説明せず総会を進行した責任」について厳しく抗議し、追加の説明を求める文面。
  7. 大京アステージ再回答書<ご質問事項 5>(2025年5月23日 抜粋)
    • 「誤集計は担当者任せだった」「提出期限後の改ざんは不明」とする姿勢を示した文面。
  8. 理事長の代理人弁護士作成の回答書 3
    • 「提出期限後の提出を認めた手続きに違法性はないものと考えます」とする理事長側の見解。
  9. 大京アステージ真島社長へ提出した説明書(本件の経緯と問題点を詳細にまとめ、経営陣の責任を追及するために提出した書面)

5️⃣ 管理会社の対応・回答(大京アステージの回答の変遷)

No.不正行為項目(★印は当時の理事長と共謀)2025515初回回答(要旨)2025年5月23日再回答(要旨)
  • 2025年5月15日 最終回答<ご質問事項 5>
    1. 誤集計の認容:「出席票・委任状・議決権行使書について、誤った集計をした」と初めて認めた。
    2. 改ざん疑義への無回答:「提出期限後の書き換えについては不明」とし、実質的な調査を行わず、改ざんの有無を放置。
  • 2025年5月23日 再回答<ご質問事項 5>
    1. 担当者任せの責任転嫁:「総会議案採決時の集計ミスは担当者が任されていたため」と、自らの組織的統制不全を認めず。
    2. 調査回避の姿勢:「提出期限後の書き換えがあったかどうかは調査していない」と明言し、説明責任・統治責任を放棄する態度を継続。
  • 問題点
    1. 説明責任放棄:返却前後の数の齟齬に関して住民へ一切の説明を行わず、総会の正当性を歪めたまま決議を強行した。
    2. 組織的統制不全:「担当者任せ」により、重要書類の取り扱いルールや検証フローが存在しないことを露呈。
    3. 善管注意義務・報告義務違反:管理受託者として、住民自治の根幹を支える投票手続きを正しく管理・報告すべき義務を著しく逸脱。

6️⃣ 管理組合の対応と提言

  • 再通知書による追加質問 【再確認・再回答を求める主要論点】 6(2025年5月17日送付)
    1. 返却前後の齟齬認識の是非
      • 「返却前に集計された議決権行使書数」と「返却後=総会当時の数」の差異を把握していたかどうかを文書で明示させる。
    2. 総会成立要件の再確認
      • 齟齬のある状態で総会が成立した場合、その成立要件および議決権行使の前提が崩れる点について見解を求める。
    3. 集計結果への反映状況
      • 返却された議決権行使書を最終的にどのように扱い、集計結果に反映したかの詳細を速やかに開示するよう要求。
  • 理事会・面談での追及強化
    • 2025年4月18日の第3回面談記録をふまえ、経営陣や担当者からのさらなる事情説明を求める追加面談を企画。
    • 面談記録を逐次更新し、住民にも情報を共有して透明性を担保。
  • 法的対応の検討
    1. 議決取消請求
      • 区分所有法第59条・第60条に基づき、齟齬のある議決権行使書を含めたまま「総会成立」とした決議の無効化を検討。
    2. 損害賠償請求
      • 民法上の善管注意義務違反(第644条)・不法行為責任(第709条)に基づき、正当な意思表明機会を奪われたことへの賠償請求を視野に。
    3. 刑事告発の可能性
      • 議決権行使書の改ざんは私文書偽造罪(刑法159条)・同行使罪(161条)に該当し得るため、警察への相談・告発を検討。
    4. 行政通報
      • マンション管理適正化法違反として国土交通省・都道府県主管課へ通報し、行政指導・調査要請を要請する方針。
  • ガバナンス強化策
    1. 投票管理フローの見直し
      • 提出期限前後の投票用紙数を管理組合と管理会社が二重チェックし、返却記録と集計記録を照合する仕組みを導入。
      • 電子ログやサインカードによる出席・投票管理システムを検討。
    2. 第三者監査の導入
      • 総会の投票・集計プロセスを外部専門家(弁護士・公認会計士)に随時チェックしてもらい、不正が起きにくい仕組みを構築。
    3. 内部通報制度の整備
      • 匿名で投票・総会運営に関する疑義を報告できる窓口を設置し、問題の早期発見と是正を促す。
  • 住民への注意喚起メッセージ
    • 「投票用紙の提出後にも目を光らせてください」
      • 総会当日まで管理会社や理事長が投票用紙を預かる場合は、返却後の数を必ず住民側でも確認し、不審な改ざんがないかチェックしましょう。
    • 「投票集計は二重チェックが重要です」
      • 一度集計した結果と、返却された紙を含めた最終集計結果を突き合わせる仕組みを理事会ルールに盛り込むことをおすすめします。
    • 「総会成立要件を疑う場合はすぐに声をあげましょう」
      • 出席理事数や委任状数が正当に満たされているか不明なときは、総会の一時停止を求め、確認を怠らないよう注意を喚起。

想定される法的責任(一般論)

  1. 民事責任
    • 善管注意義務違反(民法第644条)および不法行為責任(同第709条)による損害賠償請求。
    • 区分所有法第59条・第60条に基づく、総会決議の無効または取消訴訟。
  2. 刑事責任(悪質性が高い場合)
    • 私文書偽造罪・同行使罪(刑法第159条・第161条):議決権行使書の改ざんに該当する場合。
    • 背任罪(刑法第247条):理事長や管理会社が組合財産・組合意思を不正に操作した場合。
  3. 行政責任
    • マンション管理適正化法違反として、国土交通省または都道府県監督課による行政指導・処分(業務停止命令等)。

管理組合としての対応の方向性

  • 透明性担保のためのルール整備
    1. 提出→返却→集計の3ステップをすべて記録し、理事会・住民が二重チェックする体制を整える。
    2. 議事録・面談記録の公開強化:総会や理事会でのやり取り全文をウェブサイトやニュースレターで共有し、住民がいつでも確認できるようにする。
  • 社内監査・第三者監査の導入
    1. 外部監査人(弁護士や公認会計士)を定期的に招いて、投票管理フローや議決集計の適正性を検証。
    2. 内部通報窓口の整備:匿名で問題提起できる窓口を設け、不正の芽を早期に発見する仕組みを構築。
  • 法的措置の着手
    1. 議決取消請求の準備:区分所有法に基づき、無効・取消訴訟に向けた証拠収集と訴訟準備を進める。
    2. 損害賠償請求への対応:民事訴訟のための損害試算を行い、善管注意義務違反による損害賠償を検討。
    3. 行政通報・刑事告発の検討:マンション管理適正化法違反や私文書偽造罪の可能性を踏まえ、監督官庁や警察への通報を視野に入れる。
  • 住民説明会・注意喚起活動
    1. 住民説明会の開催:今回の経緯・問題点・今後の対応方針を区分所有者全員に説明し、不安解消と状況理解を図る。
    2. 全国組合への情報共有:プレスリリースや報道提供資料を通じて、本件を全国のマンション管理組合に注意喚起し、同様の事例の防止を呼びかける。

結論
議決権行使書の改ざん疑惑を見過ごしたまま総会を成立させた大京アステージの対応は、住民自治の根幹を揺るがす重大な問題です。管理組合は再通知や面談で真相追及を続けると同時に、法的責任追及も視野に入れた準備を進めています。加えて、投票管理フローの透明化、外部監査制度の導入、内部通報窓口の整備など、再発防止のためのガバナンス強化策を速やかに実行する必要があります。全国のマンション管理組合にも本事例を共有し、不正防止と住民保護の重要性を改めて訴えかけることが喫緊の課題です。

改訂履歴

2025年6月4日 第32期理事長へのご照会書と代理人弁護士によるそのご回答

第32期理事長へのご照会

代理人弁護士によるご回答

代理人弁護士による通知書(配達証明)より抜粋

総括

第32期理事長による「提出期限後の委任先変更」「議事録誤記」「集計ミス放置」という三つの大きな問題は、管理組合運営および管理会社の受託者責任を根本から揺るがすものです。このまま放置すれば、マンション全体のガバナンスは回復不能なほど大きく損なわれます。

したがって、

  • 第32期理事長はまず「議事録誤記の訂正と謝罪」「理事長自身の説明責任の遂行」から着手し、速やかに「規約・細則の抜本的見直し」を行ってください。
  • 大京アステージ(管理会社) は「改ざん疑義の徹底調査報告」「透明性ある集計フローの構築」「外部監査の定期導入」を急務として実行し、受託者責任を果たす姿勢をあらためて示す必要があります。

この二つの主体が真摯に問題解決へ向き合い、「透明性」「説明責任」「ガバナンス強化」をキーワードに具体的アクションを起こさない限り、第32期の信頼回復は実現しません。今後は上記示唆を具体化し、速やかにアクションプランへ落とし込むことを強く要求します。